宝塚歌劇雪組公演『るろうに剣心』・スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』


ちょっと前になってしまったけれども時間をあけることなく宝塚歌劇とスーパー歌舞伎を観劇した。改めて観てみると共通点がたくさんあって、その発見が面白かった。

どちらも理想を具現化した究極の嘘の世界、劇画の非現実がとてもよく合う。開幕前は心配されたがるろ剣もワンピも蓋を開けてみれば大好評、原作ファンからも支持されていたらしい。ワンピを観た時、わー宝塚も一緒なんやなと思ったのは、ファンはどちらの世界でもお馴染みの役者の成長を温かく長いスパンで見守り続けているということ。題材が変わってもパフォーマンスにはお約束事があり、それがないと存在意義がなくなってしまうということ。拍手の回数が他の舞台に比べて格段に多いこと。これらは宝塚や歌舞伎の世界に限ったことじゃないんだろうけれど、少なくとも小林一三さんは向こうを張って女性だけの劇団を創設するにあたり、たくさんの日本人が喜ぶツボとファン心理を先駆者から学ばれたのだろうと思う。

そしてあの手この手を使って新しいファンを獲得しようとしているのも同じだった。特にスーパー歌舞伎はその立ち位置から今後どう発展させていくか色々と試行を重ねているように見受けられた。時代とともに変化していくファンの心を繋ぎとめるのは大変なこと。もう私の感性はポンコツすぎてとやかくは言えないけれどそれぞれの独自の美学を貫いて次の世代に繋げてほしい。どちらも素晴らしい文化だもの。楽しい時間だった!
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# by konekohaku | 2016-04-23 13:01 | movie・theater  

ナショナル・シアター・ライブ『橋からの眺め』






久々に心掴まれる舞台を観た。ライヴ映像だけれど。

静かに流れるフォーレのレクイエム。二人の、シャワーの下で黙々と身体についた汚れを落とそうとしている男性の姿。
冒頭から、目の前の映像以外の一切が消えてしまうかのような不思議で強烈な光景。

舞台にあるのは正面に設えた、入口の分だけ切り取られた壁と、ステージをぐるりと取り囲む、目に邪魔にならぬ長椅子のみ。小道具はタオルとたばこと一足のハイヒール、背もたれのついた木製の椅子くらいだったか。
・・・それだけ。たったそれだけなのに、秀でた演出によりイタリアからアメリカへと豊かさを求め海を渡り、社会の底辺で肩を寄せ合いながら生活している家族やコミュニティの、逃げ場のない複雑に絡み合った愛憎が深く緻密に描かれていた。初めてイヴォ・ヴァン・ホーヴェの演出を観たけれど極めて手持ちのカードが少ない中、お互いの腹の中を探り合う空気と時間までもを表現することのできる噂通りすごい才能の持ち主だと思った。プロジェクションマッピング、派手な衣装、大音量・・・人間の感覚を刺激するものをどんどん足していくと観客は喜ぶかもしれない、興奮するかもしれない。しかし引き算の舞台が成功した時、感覚刺激系のそれからは感じられないえもいわれぬ上質感と深みと余韻をよぶ。この『橋からの眺め』はまさにそんな感じ。演劇好きにはたまらんよ。

主役のマーク・ストロングを評価する声が多いようだけれど(オリヴィエ主演男優賞を受賞)、もう少し人間の業を強く感じさせるようなドロドロした演技でもよかったのではないかなぁ。ちょっとあっさりしているように思えちゃった。むしろ彼を取り囲む役者たちが自然でとてもよかった。

それにやはり本がいい。確かアーサー・ミラーはマリリン・モンローと別れたあとにこの戯曲を書いたと記憶しているのだけれど、「腰を振って歩くな」とか拒むことのできない屈託のない愛らしさとか、キャサリンにモンローを投影しているように思えたなぁ。。。きっと彼は心底マリリンを愛していたのだろう。

出演:
マーク・ストロング
イーモン・エリオット
フィービー・フォックス
マイケル・グールド
ニコラ・ウォーカー
作:アーサー・ミラー
演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ(2015年ローレンス・オリヴィエ賞最優秀演出賞受賞)


追記 (2016/4/18)
「橋からの眺め」はアーサー・ミラーがマリリン・モンローと結婚する前年に発表されていました。ええ加減な記憶やわ~。てか確認してから書けよって話。ナットクナットク。この戯曲を書いている時きっと二人は恋愛中だったのね。下はネットから拾ってきた幸せだった頃の二人の写真。うーん、やはりキャサリンはマリリンそのものだわ。

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# by konekohaku | 2016-04-16 23:19 | movie・theater