生き残った男の仔
小さな仔猫が2匹
母猫や他の兄弟猫たちとはぐれ
路地をさまよっていました
一匹はグレー、一匹は真っ白
まだ生まれて1ケ月になるかならないかの
小さな小さな命でした
数日の間その仔猫たちは
自分がどういう状況におかれているか理解することもなく
ただただ鳴いてその場で過ごしていました
彼らを助けてくれる人は誰もいませんでした
雨が降り続いたある日
心やさしい女性が
見るに見かねて
ずぶぬれになった仔猫たちを拾って
病院に連れて行ってくれました
かなり衰弱しているように見えたからです
医師による懸命の治療と
助けてくれた女性の手厚い看護の甲斐もなく
とても美しいグレーの毛色をした方の仔猫は
力尽きてその短い一生を終えてしまいました
が
もう片方の仔猫は
亡くなった兄弟猫の分まで
力強く生きていこうとしているかのように
どんどん体力を回復し
一命をとりとめることができました
生き残った真っ白な仔猫
それがハクです
数日間保護主さん宅にいたハクですが
先住猫がたくさんいた為
里親が見つかるまでのしばらくの間
一時保護のボランティアさん宅に預けられることになりました
そして1年前の今日6月12日に
保護してくださった女性とボランティアの方に付き添われ
それからの長い一生を過ごすこととなる
我が家へとやってきたのです
時がたつのは早いもの
リビングに置かれたキャリーケースから
こわごわ出てきたハクの姿を
昨日のことのように思いだします
ハクはベテランボランティアさんがもてあます程
ひどい噛み癖のある仔猫でした
兄弟猫とほとんど遊ぶ機会もなかったであろうハクは
遊び方も噛む加減もしらない
過激な猫でした
皮手袋と室内用ブーツ
ハクにつけられた無数の傷で
身体だけでなく
時に心も痛むことがあったけれど
ハクが噛みつくのは
飼い主を母猫か兄弟猫と思ってくれてるから
そして
たった2ケ月で3回も住む環境が変わり
落ち着かない日々を送ったハクにとって
一日でも早く
我が家が安らぎの場となりますように
そんな思いだけで
なんとか今日の日を迎えることができました
お互いよく頑張ったよね
いろいろあったけど
こんな幸せな気持ちで1年を迎えられたから
これから先どんなことがあっても
一緒に乗り越えていけるよね
私たちの物語はまだ始まったばかり
これからもずっとずっとよろしく
(補足 その1)
我が家へやってきた頃
ハクは新聞屋さんのバイクの音で目を覚まし
足やら手やら時に顔を噛んでは飼い主を起こしていました
一番上の写真はキッチンにかけてある時計
毎朝「まだ4時半だ~(涙)」と思いながら
あの時計を見上げていました
夏の間中その状態は続きましたが
今では飼い主が起きるまで
じっと横に座って待っていてくれるようになりました
(補足 その2)
「生き残った男の仔」というタイトルは
かの有名なイギリスの小説からパクリました(笑)
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by konekohaku | 2009-06-12 23:13 | 猫