NINE


映画「NINE」を観てまいりました
監督は「CHICAGO」のロブ・マーシャル
トニー賞を5部門受賞したBWミュージカル「NINE」を映画化した作品です

ご存じのように「NINE」は
イタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニ監督の最高傑作といわれている
映画「8 1/2」をベースに作られています

主人公のグイドは映画監督
かつては名監督としてならしたグイドもここ数年失敗作が続き
今も新作の構想に行き詰まっている
完全にスランプ状態のグイドは
制作発表会を抜け出しイタリアのとある温泉地に身を潜める
いくら考えても出てこないアイディア
そこに登場する

自分の元を去ろうとしない愛人
追いかけまわすプロデューサー・・・

精神的に追い詰められるグイドの脳裏に次々と幻想が現れる
果たして彼は映画を作ることができるのだろうか・・・



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「8 1/2」と「NINE」はラストが若干違うものの
ストーリー、登場人物など骨格部分はほぼ同じ
大雑把に言えば主人公グイドの精神的破綻と再生を描いています

その根底にあるのは
おそらく何らかの理由で幼児期に満足に得られなかった
母親からの愛への渇望であったり
少年グイドが抱いた娼婦サラギーナに対する憧憬の情を
厳しいカトリック戒律の下
大人たちによって封じ込めさせられた過去などが
影響していると思われます

根本的な愛情の欠乏が
いくら女性にすがっても
たとえ相手から溢れんばかりの愛情を与えられたとしても
決して満足できない不安定なグイドの精神を形成してしまった
そしてすべての抑圧からの逃避現象として
女性に纏わる妄想・幻想が現れる・・
心理学的に考えれば納得いくところです

「NINE」ではとかく女優陣の妖艶さが強調されがちで
原作を観ていないと主人公の心理までは若干掴みにくい
しかしこれはミュージカル映画ですから
歌と踊りを中心にした視覚的なものが楽しめれば
それはそれでありかなとも思います

「CHICAGO」の時には
主人公ロキシーの瞳の中にずんずん入り込んでいくという手法で
彼女の眼(心)に映る世界を描き
黒一色の舞台を立体的かつ色彩豊かに映像化し
高い評価を受けたロブ・マーシャル監督

今回も緻密で計算された映像はなかなかのもんでした
マーシャル監督はやっぱりミュージカルがよいな~
少なくとも「SAYURI」よりはよかったぞ
私は「NINE」の舞台版を観ていないので
それが舞台と同じなのか監督独自のアイディアであるものなのか
判断がつきかねるのですが
退廃的な雰囲気や色使いなどは「cabaret」を彷彿とさせるところもあり
やはりここでもフォッシーの強い影響を感じました

女優陣は評判通り
ベネロペ・ケイトハドソン・ファギー
すごい迫力を持って汗の匂いを感じる生身の女を好演

ちなみに一緒に観た友人は

やっぱり最後にヘアスプレーみたいな
出演者全員によるダンスシーンがないと
ミュージカル映画としてはさびしいなァ

と申しておりました
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by konekohaku | 2010-04-08 20:41 | movie・theater  

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