Dream Girls


一番好きなシンガーはSarah Vaughan
オペラ歌手もLawrence Brownleeの声がお気に入り
Oscar Petersonの芯をとらえるピアノタッチには他のどのピアニストよりもシビれるし
「hairspray」だって「chicago」だって
舞台で目を奪われてたのは黒人のパフォーマーだった

だから

東京で行われたブロードウェイミュージカル「Dream Girls」は
すごく楽しみにしていた

よっぽどひどいメンバーでない限り
ハズレってことはないだろうと思っていたから

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映画でご覧になった方も多いと思います
ほぼ同じストーリーです
(わかりやすいよう、映画の配役で書きますね)

3人の女性、それぞれにすごく面白い人物に描かれていると思うんですが
中でも映画でジェニファー・ハドソンの演じたエフィーが
とても興味深くて

エフィーってかわいいところもあるけれど
なにかにつけ素直じゃなくて
強情でなかなか一筋縄ではいかない性格なんですね

彼女たちをスターダムにのし上げた
敏腕プロデューサーのカーティス(ジェイミー・フォックス@映画)は
最初の場面から彼女の性格を見抜いています

・・・・・おそらく
これは私の勝手な想像ですが

カーティスはこの3人に目をつけた時
言葉は悪いですが、エフィーさえ手懐けておけば
このグループを自分の思い通りに操ることができると思ったんじゃないでしょうか

後半、ディーナ(ビヨンセ@映画)に対し告白するように
カーティスは初めから
自分の夢を実現させてくれる人はディーナだと気付いていたはず

そんなこととはつゆ知らず
エフィーはカーティスの恋人として
ドリームメッツのリードボーカルとして
充実した日々を送り始めます

カーティスがその後リードボーカルをエフィーからディーナに交代させたころから
周囲との関係に綻びが見え始め

度重なる揉め事に業を煮やしたメンバーたちとカーティスは
ついにエフィーと縁を切ろうとします

自分は必要とされている人間だと思っていたエフィーにとっては
晴天の霹靂の出来事だったことでしょう


1幕ラストでエフィーが歌う
「And I am tellin you I 'm not going」の中で
彼女は泣きながらこう言っています


  I don't wanna be free


初めてこの歌詞を聴いたとき
この一言で
彼女のそれまでの人生が見えたような気がしました

だって
「自由になりたい」とか
「自由になるために」とかって言葉は
嫌というほどよく耳にするけど

ある意味干渉され縛りを受けている状態から
解放されたくない
なんて叫んでいるのを聞いた記憶は
それまでなかったからです

美しくないエフィー
気難しいエフィー

ママに愛されているディーナとは対照的に
親から大事にされている様子もないエフィー

彼女は子どもの頃から
周りの人から相手にされず
とてつもなく
孤独な人だったんじゃないでしょうか

ちょっと量子力学的な考え方かもしれませんが
誰の意識にものぼらないエフィーは
メンバーやカーティスに出会うまで
存在しないに等しかったかもしれない

カーティスに会って
彼女は初めて
愛され
必要とされた

彼は彼女にとって
代わりの利かない
唯一無二の人だったでしょう


「And I am telling you I 'm not going」の直前の歌、
「It's all over」では
仲間からもう終わりよ!!と言われても
出て行かへんで!なんで私が出て行かなあかんのっ!!!
ってな調子で強がっていた彼女も

「And I am telling you I 'm not going」では一転して
本音の部分の
弱い弱い自分をさらけ出して歌っています

こんなこと言ったらカーティスが余計逃げるとか
相手にどう思われるだろうかとか

そんな計算をすることもできず

なりふりかまわず
泣いて
すがって

「私は行かない、ひとりになりたくない、ここにいる」
と心から叫ぶわけです



来日キャストの映像がないので
オリジナルキャストのトニー賞でのパフォーマンスを貼っておきます
エフィー役は今や伝説、Jennifer Holliday
「It's all over」に続いて「And I am telling you I 'm not going」を歌います





今回の来日キャスト

直前までアポロシアターで公演していたカンパニーだけあって
聞き応え、見応えのある素晴らしいパフォーマーたちでした

エフィーを演じたMoyaさんは
声に艶と力強さを
そして何より
表現力を兼ね備えた素晴らしいシンガーでした

個人的には
And I am telling you I 'm not goingは
きれいにまとめることも
上手く歌う必要もなくて

ズタズタに切り裂かれる
その瞬間の心の叫びを表現してくれたら
それで満足と思っていたんです

期待を裏切られることはなかったですねー
Moyaさん、エフィーの痛みを全身全霊で歌い上げていらっしゃいました

感涙

他のキャストもほんとよかったです

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ひとつ愚痴ることがあるとすれば
箱が大き過ぎ

私は早くにチケを押さえ前の方で観れたからよかったものの
半分から後ろの方はきつかったんじゃないでしょうか
日本じゃ仕方ないのでしょうけれど
(コーラスラインの来日公演の時もホールが酷かった)

休憩中、ラウンジで「映画の方がいいね」って声がチラホラ聞こえたんです
これだけのカンパニーをもってしてもそう思われたのは
客席と舞台との一体感のなさにあるのではないかと。。。
勿体ないなー

ちょっと残念でした


ご存じようにこの話は全くの創作でありながら
ヒントになった実在のモデルがいます
エフィーのモデルとなったフローレンス・バラードさんは
グループ脱退後もヒット曲に恵まれず不遇な人生を送られ
32才の若さでお亡くなりになられたそうです

夢の世界に隠れた現実の物語

胸が締め付けられる思いです
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by konekohaku | 2010-06-05 18:48 | movie・theater  

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