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幸せそうな笑顔を見るのはいいものだ
それが自分の好きな人の顔なら尚更のこと

Eが私たちの家で暮らしていたとき
オーストラリアで一番おすすめの場所ってどこ?と聞くと

ヌーサ!
絶対ヌーサよ!
サンシャインコーストにあるの!

Eは深い碧色をたたえた瞳を
きゅるきゅると煌めかせながら迷わずそう言った

パパのヨットに乗ったり
ジェットスキーをしたりするの
イルカと一緒に泳いだりもできるのよ
ゴールドコーストなんかよりずっといいんだから
ああ、〇〇〇(私の名)にも見せてあげたい


アボリジニの言葉で隠れ家を意味するというヌーサ(noosa)
遠く一人母国から離れていたEにとって
夏の休暇の間中、
毎年家族と過ごすというヌーサの記憶は
胸に秘めた宝石箱のように輝きを放っていたに違いない

紅潮した美しい顔を見ながら
Eの瞳の奥に存在する海岸を思い浮かべた
Eがこれほど幸せを感じるって場所ってどんなところなんだろう
どんな風が吹いて、どんな音が聞こえてくるのだろう・・・



行く途、昨夜ディナーをご馳走になった妹さんのお宅に寄り
そこでEのおじいさまとおばあさまに再会!
Ekkaがらみのパーティに出席しその帰りに
妹さんの家に寄って泊まられたのそうだ

どう?ブリスベンを楽しんでいる?

ええ、とっても!

この前初めてお会いしたばかりだというのに
なぜだかとても懐かしく
ここで再び言葉を交わせたのは
大変に嬉しいことだった

お二人の笑顔のお見送りを受け
いよいよヌーサへお出かけだ
私たちは姿が見えなくなるまで
車の中から手を振り続けた



ヌーサはブリスベンから約110km
rowing大会会場よりさらに北上する


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今日もママの車は弾丸のごとく爆走中
真ん中にLを挟み、私とEは後部座席に乗り込んだ

Lは車の中でPCを開いて4日後に提出期限の迫る、
assignmentをやっている
ただの宿題とは違い内申に響く大切な課題らしいが
Lには少々難しいようで800字で仕上げねばならぬところ
まだ100字にも満たない状態だった

Lはおっとりとしていて
それが彼女の最大の魅力だと私などは思うのだけれど
頭の回転が速く敏捷なEには
7つ年の離れた妹の、一から十までがイライラの原因になるらしい
勉強の進捗状況を横目で見ながら
ストレスMAX状態の顔をしている

みかねて、EはLの文章の手直しをする
先に進めるように次の文章の出だしまでタイプしてあげている
それでもLは文章を続けることができない

泣き出しそうな表情でPCを見つめているLの姿が愛おしくて
彼女の頭ごしにEに向かって「cuuuute~」と
口の動きだけで私が伝えると
Eがこれまた声を出さずに「Noooooo~!」と
思いっきり鼻の頭に皺を寄せながら否定する
ずいぶん低くぶっとい声でノォ~と言っているのが
聞こえてくるような気がしたほどだ


結局assignmentはほとんど進まず
そうこうしている内に、サンシャインコーストに近づいてきた

ヌーサの駐車場はどこも満車状態
運転手のママを残して先に私たちだけが海岸へ向かうことになった

眩しく照りつける太陽
髪を揺さぶりながらすり抜けていく風
弦楽器が何層にも重なって織りなす低音にも似た潮の音


まもなく

Eの心の宝箱に大切に仕舞ってあった海岸が
現実となって
私の前に広がり始めた





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by konekohaku | 2012-09-10 20:42 | Australia  

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