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イントゥ・ザ・ウッズ


高い評価を得ているミュージカル作品の映画化。
夢いっぱいのディズニー映画と思って楽しみに観た方に
ウケが悪いのはよくわかります。

舞台ではこの奇想天外な展開もテンポよく、
ウィットに富んだセリフや
膨大な数の韻を踏んだ完成度の高い楽曲、
メタファーから類推される真の物語のメッセージ性などで
非常に心打つ作品に仕上がっている訳ですが、
これだけ映画の評判が悪いのは
監督の手腕に問題あるのか、ターゲットを間違えたのか、難解すぎるのか。

ディズニー作品として世に送り出したことには私は拍手。
よくやったなーと思いました。
これまで徐々に兆しはありましたが、これが完全に転換点となるでしょう。
(まあ逆戻りもありかもしれませんが。)
そもそもこの映画、ディズニーのコンセプトである
「幸せを願う」という姿勢に反する作品ではないですからね。


Mr. Sondheim’s great song “No One Is Alone” is a double-edged lullaby.
It acknowledges that everyone is ultimately alone,
although the shared understanding of that isolation makes life bearable.
(The New York Timesより)

いくたびかの喪失、困難を乗り越えて人生を全うするのは本当に大変なこと。
私もここ数年ひしひしと感じています。

この作品の肝でもある混沌、
私たちは道半ばで行く先を見失い頼りにしていた人とも引き裂かれ途方に暮れたとき
どうやって家に戻ればいいのでしょうか。

名曲「No More」がカットされていたのは残念でしたが
最後は楽曲の大いなる寛容と茫洋たる優しさに
抱擁され、背中を押され
目頭を熱くしながら劇場をあとにしました。

人生が輝きに満ちている若い世代や
自分を完璧な人間と思っているタイプの人には
向かない作品かもしれませんが
人間の弱さや愚鈍さを知り、世間をよくご存知の方には
きっと心に響く作品だと思います。


作詞・作曲:スティーヴン・ソンドハイム
脚本:ジェームズ・ラパイン

by konekohaku | 2015-03-24 21:29 | movie・theater  

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