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私の父は名文家だったそうだ

まだ父が健在だった頃
母と伯母が寄るといつもそんな話をしていた
学生時代は友達の恋文を代筆していたらしいとか
他大学の生徒の代わりに論文を書いて小銭を稼いでいたとか

父はその才能を活かすべく
「文を書く」ことが主な仕事の、とある企業に就職した
というと聞こえがいいが
本人曰く、遊び人の父を雇ってくれるのは
そこしかなかったんだそうである

とりあえず父の筆力のおかげで
私たち家族はおまんまを食べさせてもらっていたわけだけれど
長兄とは歳の離れた末っ子として生まれた私が物心ついた頃には
父はもうその企業の経営者となっていて
母や伯母が自慢げに話す名文とやらに
直接触れる機会はなかった


私がきちんとした形で初めて目にした文章は
父が、公私ともに親交の深かった
かつての盟友に捧げて書いた弔辞だった

「お葬式の後、たくさんの方からお電話頂いたのよ
パパの弔辞に感動して泣きましたって」
母の言葉に責付かれるように
きっちりと畳んで保管されていた原稿に手を伸ばした
父の性格を表すような
おおらかで丸っこい文字が並んでいた

美しい文章だった
長い年月を共に闘い、共に支えあった者にしか書けない文章だった
お涙頂戴風でもないのに
選ばれた言葉の背後にある思いの深さに
涙があふれて止まらなかった

長年の友を失うということが
残された者の心にどれほどの喪失と哀惜の情をもたらすのか
父の筆を通して
その時生まれて初めて悟ったように思えた


ある芸能関係の方が亡くなったとニュースで流れていた
私はその友の死を誰よりも悲しんでいる人を知っている
亡くなった方はその人の人生の一部であったはずだ

その人と
父の、気丈でありながらも寥寥とした後ろ姿が重なった

その姿をただ見つめることだけしかできない私もまた
かつての自分と重なっていた
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by konekohaku | 2012-06-30 22:46 | 生活  

紫陽花 12-3



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       トルコ桔梗を使ってアレンジしてみた 今年の我が家の紫陽花はすこぶる不作




映画「ピアノマニア」の中でピエール=ロラン・エマールが演奏していた
「フーガの技法」のCD
図書館にあったので借りてきた


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曲番によって微妙に音色を変えているのが聞き取れる
ああなんて心地いい響きなんだろう
ホールの隅々にある残響音まで小さなCDの中に閉じ込められているようだ
エマール、調律師、録音技師があれほど
一音一音に魂を込めて録音したんだもの

最初は私の抱くバッハを連想させる音と若干の違いがあって
どうなんだろう?って正直思ったが
演奏が進むにつれどっぷりとその世界の中に引きこまれてしまった

グールドをして「あらゆる音楽の中でこれほど美しい音楽はない」
と言わしめた未完の14番

極上のピアニストの演奏に身を委ねれば委ねるほど
その衝撃的な終わり方に心の動揺を覚える方も多いだろう

エマールの演奏においても同じく
陶酔の世界から突然正気に戻った時のように
どしようもない不安と孤独感に襲われた

だからこれはきっといい演奏なんだろうと思う
深遠すぎて何が正解かなんて私にはわからないけれど
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by konekohaku | 2012-06-21 20:48 | flowers  

紫陽花 12-2



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2日ほど続いた頭痛からやっと解放された。

先日友人と健康の話になって

「ここんとこ、全く頭痛がせぇへんわ」

と言ったとたんにコレ。


よくあるのだ、このパターン。

最近何某の病気をしない、と口にしたとたん

まるで言葉の呪縛のように

1~2週間くらいの内に罹るというのが。

ええ気になってたら痛い目に遭うでー

とイエローカードでも出されているみたいに。



今日、仕事帰りに最寄駅でご近所さんと一緒になった。

まだしんどかったので声をかけられないように

伏目がちに急ぎ足で歩いたけど

きっちり後ろから〇〇さーんと呼び止められた。



「あら、どうしたの?しんどそうやね」

「ええ、ちょっと頭痛で・・・・」

「あら~、よく起きるの?私はこの前風邪ひいたわ」

「ああ、そうでしたか・・・
風邪はここ数年、ひいたことがないんですけどね、
やっぱり頭痛持ちみたいで・・・」


・・・・しまった、今度は風邪ひきに気をつけにゃ。
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by konekohaku | 2012-06-20 22:37 | flowers  

紫陽花 12-1



父の日ということもあり
週末またまた主人の両親に会いに行った
今回は私の実家の母も一緒に


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義父ご自慢のお庭に
新入りのとても美しい紫陽花が咲いていて
一目惚れしたので株分けしたものをもらってきた



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「お義父さん、この前頂いた植木、ダメにしちゃった」

「構わん、構わん」

「これも枯らしたらごめんなさいね」

「構わん、構わん」



こういう受容の一言一言で
毒々しい母娘は
二人揃って
心の浄化をしてもらうのである
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by konekohaku | 2012-06-18 20:21 | flowers  

USB




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とある文具店で見つけたこのUSBメモリ
かわいくてええんですけど
なんか見てて落ち着きませんねん




ちょうどこんな恰好を見ているときの感じ?

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ハクちゃん、二つ折れで苦しくないんかなー?




で、結局あまり使用せず
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by konekohaku | 2012-06-13 20:17 |  

4th anniversary




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どの部屋にいようと
必ず私の後を追ってくるハクを見て

久しぶりに帰省した若者その1が
しみじみとこう言った。

「ハクオは本当にお母さんのことが好きなんやなぁ」



ハクがこの家にやってきた頃
それまで人間としか暮らしたことがなかった私たちは

部屋の中に猫がいる!

と見慣れない生き物にいちいち驚いたものだった。


あれから4年


今では私と同じ空間にその姿が見えないと
誰からともなく探し始めるのだ。

愛おしくて仕方がない
白い私たちの宝物を。

ずっとそばにいてよ、と
心からの願いを込めながら。
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by konekohaku | 2012-06-12 22:59 |  

芍薬



今年も花屋さんがたくさんの芍薬を届けてくれた
毎年代わり映えしない写真で恐縮ですが・・・



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                 庭から摘んできた草花と




先日観たピアノマニア
久しぶりにアルフレート・ブレンデルの姿を見た
2008年に引退しているはずだからずいぶん前に撮影されたんだろうな
惜しまれつつの引退だったけど
それも淡々としたイメージのブレンデルらしくて潔い

私が彼の実演を大阪のシンフォニーホールで聴いたのは2001年
もう10年以上も前のこと
結局あの時が最後の来日公演となったらしい

今日は朝からブレンデルのCDをひっぱり出してきて
家事もそこそこにハクオと共に耳を傾ける
平和でぐうたらな日曜日



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by konekohaku | 2012-06-10 21:32 | flowers  

einführung


映画「ピアノマニア」を観てきた。



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スタンウェイ・オーストリアの調律師、シュテファン・クニュップファーと
彼に絶大な信頼を寄せている世界的ピアニストたち。
フランスの名ピアニスト、ピエール=ロラン・エマール演奏による
バッハ晩年の傑作「フーガの技法」(THE ART OF THE FUGUE)の
録音完成までの1年を中心に描かれるドキュメンタリー映画。


オフィシャルサイトはコチラ

ネタバレバレ
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by konekohaku | 2012-06-09 00:35 | movie・theater  

Orpheus chamber Orchestra with Ryu Goto



オルフェウス室内管弦楽団&五嶋龍のコンサートへ行ってきた
@シンフォニーホール


プログラム

ロッシーニ:歌劇「アルジェのイタリア女」序曲
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.61
メンデルスゾーン:交響曲 第4番 イ長調「イタリア」op.90


アンコール 
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第6番 ホ長調 op.27-6から
(ソリスト・アンコール)
メンデルスゾーン :劇音楽『真夏の夜の夢』op.61からスケルツォ
シューベルト :付随音楽『ロザムンデ』からバレエ音楽第1番



久しぶりのオルフェウス、さすがさすがの躍動感
この楽団の弦の響きが好きなんよねー
やっぱりうまいなぁーとゾクゾクする
んーでも以前に比べたらいろんな意味で落ち着いてきて、
その分、切り込むような鋭さが若干落ちたと感じたのは私だけ?
いえ、あの「呼吸」はやっぱり唯一無二やと思いましたけどね

龍くんはなんとなんと
すっかり青年になっていた!
昔は子どもやったのになぁ(当たり前)
龍くん、キーシン、ハーディング・・・
少年、青年だったデビュー時の記憶が鮮明に残っている人たちが
年齢を重ねていいオジサン風(龍くんはまだ青年やけど)
になっているのを見ると
おばちゃん、びっくりしますねん
(はい、キーシンには正直ショックすら受けてます、、、)

龍くんの演奏はやさしくのびやか
偉大な姉、midoriさんの演奏とは趣を異にするけど
熱が入って眉間に皺を寄せると
お姉さんの演奏中の表情にそっくり!
才能がある方なのでどんどん人生経験を重ねて
凄みのあるいい演奏家になっていってほしいなぁ

チケットはソールドアウト、補助席も出る人気ぶり
チケが取れなかった~涙、という知人の声を数人実際に耳にしたのに
良席にポコンと数席空きが
関係者席?もったいないなぁ
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by konekohaku | 2012-06-04 22:59 | music