<   2014年 05月 ( 9 )   > この月の画像一覧

 

Cabaret 2



<引き続きネタバレと妄想にご注意>


『キャバレー』は、
アメリカのクリストファー・イシャーウッドの短編集『ベルリン物語』を、イギリスの劇作家ジョン・ヴァン・ドゥルーテンが『私はカメラだ』という戯曲にしたものをベースにミュージカル化された。


      **************

映画版は1966年のオリジナル舞台版をもとに、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーが映画版を製作、1972年に公開された(舞台版とはエンディングが異なる)。


トム・フォードが監督し話題となった映画「シングルマン」の原作者として記憶されている方も多いだろう、恥ずかしながらキャバレーについては大昔から映画版に慣れ親みすぎていたからかこれまで調べようという気さえおこらなかったので、元をたどればイシャーウッドの作品に行き着くとは知らなかった。


クリストファー・イシャーウッド・・・
イングランド・チェシャーにて生まれ、イギリス陸軍の中佐であった父親の仕事の都合で様々な町にて幼少期を過ごした。
第一次世界大戦で父が戦死し、その後は母とロンドンで暮らすようになる。
サリー州のプレパラトリー・スクールでW・H・オーデンと出会う。
その後、医学を学ぶためにキングス・カレッジ・ロンドンに入学したが、1年で退校した。
イギリスのアッパー・ミドル階級の暮らしを嫌悪し、ベルリンやコペンハーゲン、シントラなどヨーロッパ各地で生活したのち、アメリカ合衆国へ渡る。
ゲイ男性の文筆家として著名。
48歳のとき、当時18歳だった画家ドン・バチャーディに出会い、亡くなるまで生涯のパートナーだった。
2007年には二人の生涯を追ったドキュメンタリー映画『Chris & Don. A Love Story』がリリースされている。

  (以上、太字部分はウィキペディアより)


「goodbye to berlin」は(邦題は「ベルリン物語」または「さらばベルリン」)イシャーウッドがベルリンに滞在した時(1931~1933)の見聞に基づいて書かれた作品。
まだ翻訳されていないようだが、その中の一篇「Sally Bowles」が世界短編文学全集の中にあったので近くの図書館で借り読んでみた。

主人公の男性の名はクリストファー・イシャーウッド、なんと作家本人だ。
クリストファーは知人の紹介で奔放に生きる歌手サリー(架空の人物)に出会い、意気投合した二人は同じ下宿に住みはじめる。

映画と同じく原作でもサリーはエメラルドグリーンのマニキュアをし、生卵とウスターソースをかき回して作った"プレーリ・オイスター"なるものを常食としている。
サリーは秘かにクリストファーに思いを寄せるが二人が男女の仲になることはない。
作中には映画のマクシミリアンと思しきお金持ちの男性も登場する。

映画版は舞台版を元にした、というよりこの「Sally Bowls」を膨らませたものと考えてよさそうだ。


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サリー・ボウルズはイシャーウッドがベルリン滞在中にアパートメントをシェアした、Jean Rossというイギリスアッパーミドルクラス出身の実在の女性をモデルに書き上げたキャラクター。
ジャーナリストで、サリーのイメージと違ってインテリだったようだ。
(下記動画参照)
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当時のベルリンはワイマール共和国の首都として急速に国際都市へと発展、人々は享楽的退廃的風刺的な大衆文化を生み出し、この町に多くのゲイアーチストが流れ込んだ。
性的にも非常に開放的な町だったようで、ゲイであったイシャーウッドも堅苦しいイギリスから自由な男性と関係を求めベルリンへやってきたとされている。
(http://en.wikipedia.org/wiki/Christopher_Isherwood より)

ところが一方でナチスが台頭、1993年政権を掌握するとレビューやキャバレーを代表とするアンダーグランド文化の弾圧が始まり、ベルリンの町はその様相を変えていく。
イシャーウッドはわずか2年でベルリンを去るが同性愛者が迫害の対象であったこともこの町を後にした大きな要因だっただろう。



こんな動画を見つけた。
タイトルは「The Real Cabaret」、案内役は舞台Emcee役で有名なアラン・カミング。
イシャーウッドが実際に住み、撮影にも使われたアパートや1930年頃のベルリンの様子、イシャーウッド、ライザミネリ、作品にゆかりのある人々のインタビューなど、お宝映像満載のビデオ。



この番組の中で脚本家のMasteroffhは舞台版キャバレーができたのは1966年、当時はナチスや中絶の描写だけでいっぱいでイシャーウッドのホモセクシュアリティのことまで描けなかったと語っている。
1972年の映画版でようやく彼の性的傾向に踏み込めたとのこと(ゲイではなくバイとしてだったが)。

フォッシーはイシャーウッドの性指向の描写抜きにしてキャバレーという作品は語れないと考えていたのでは?
どうして老カップルではなく若いカップルを取り上げたのか本当のところはもちろん制作陣に聞いてみないとわからないけれどいずれにしてもイシャーウッドの視線の先にあるサリーボウルズという陽気で嘘つきで孤独なキャラクターが、ミュージカル映画の素材として格別の光を放つ存在であったことは間違いない。
映画はアカデミー賞で監督賞、主演女優賞、助演助演賞など、8部門を制覇した。
(作品賞は受賞ならず、ゴッドファーザーが取った)


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    若い頃のイシャーウッド。ブライアンは彼にそっくり。


映画のサリーはやはり夢を叶えるためだけに恋を捨てたのではなく自分の自堕落な性格に加え、相手が芯の部分では男性しか愛せない人だったが故に将来的に二人の関係が破綻することを見越して別れを選択をしたのだろう。大人になって(てか、おばさんになって、だな)改めて映画版を観ると至る所でブライアンは女性より男性が好きなのだと暗示している。
いや暗示ではなく、明示、だ。
子どもの頃の私はそれを理解できなかった。(幼かったんだねぇ)

ちなみに映画版キャバレーのサリーを演じたライザミネリは1974年に最初の夫ピーター・アレンと離婚している。

”I married Peter and he didn't tell me he was gay.
Everybody knew but me.”

これはライザの語った言葉。ライザ・ミネリもサリー・ボウルズも叶わぬ恋に涙していた。
どおりで名演だった訳だ。
(おしまい)

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by konekohaku | 2014-05-27 19:35 | movie・theater  

Cabaret 1


<ネタばればれです ご注意ください>


初めて嵌った外国映画はライザ・ミネリ主演のキャバレーだった。
ビデオテープ(DVDではなく、笑)を擦り切れるほど繰り返して観たのは後にも先にもこの映画だけかもしれない。

ところが当時私はまだ幼くて(中学生くらいか?)大人の事情などわかるはずもなく、主役のサリーが恋人との別れの時、自らの決断であったにもかかわらず涙で振り返ることもできないほど辛そうにしていたのは何故だったのか、それに対して相手の男性はどうしてすっきり爽やかな笑顔でベルリンを去って行くのか、愛情が残っているのなら何故やり直そうとお互いに言い出さないのか、二人の離別の理由をどうにもこうにも理解することができなかった。

What good is sitting alone in your room?
Come hear the music play.
Life is a Cabaret, old chum,
Come to the Cabaret.

ラストで明るく熱唱するサリーはそう思わないとやってられない、といった風にその隙間隙間に笑顔とは別の顔を見せていた。

有名になりたいという自分の夢を叶えたかったから?それでは動機が弱すぎると子ども心に思ったものだ。彼女が別れを選択した本当の理由は何だったんだろう?



**************************************************


先月NYへ行ったとき、数年ぶりにリバイバル上演される同舞台のチケットを押さえたのだけれど急に他の舞台(これ)が観たくなり結局見逃してしまった。
渡米直前に、代わりに観てくれる同行の友人の予習用にと映画版のDVDをレンタルしたので、私も鑑賞することにした。実に数十年ぶりのCabaretだ。

有名な「willkommen」の曲を背景に、
(Leave your troubles outside!
Life is disappointing? Forget it!
We have no troubles here!
Here life is beautiful...
The girls are beautiful...
Even the orchestra is beautiful! )
後に主人公サリーの恋人となる男性(映画版ではブライアンという名のイギリス人)がベルリンの駅に降り立つところから物語は始まる。

ブライアンがサリーと出会って間もなくのシーンだった。二人の会話と行動を観て、私が抱いていた長年の謎は一瞬で解けた。
なんだ、そういうことだったのか。
まるで一つの石の存在で景色が一転してしまうオセロの板のように子どもの頃には見えなかったこの映画の別の姿が明白な形でもって浮かび上がりサリーが結局ブライアンとの別れを選択せねばならない事情が読めたのだった。

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リバイバル舞台はそれはそれは素晴らしかったらしい。
そして音楽は同じだけれども内容に関しては映画版とは別物だった、と友人は言う。

興味津々で、帰国後1998年BWリバイバル版の映像を観た。
映画版と違い、狂言回し的存在のEmceeを中心に据え、ナチスの台頭とともに老若2組のカップルの人生の歯車が狂わされていく様が平行して描かれていた。
老カップルの方は果物屋の男性と宿屋の女主人という設定。
人生の伴侶を得、幸せな日々を手に入れようとしていたまさにその時に、相手がユダヤ人と知って宿屋の女主人は婚約を解消する。
「私はもう老いて生き方を変えられない、これまで戦争や革命やインフレを一人で乗り越え生き残ってきた、ナチスやコミュニストがやって来たって自分は生きる!」

若いカップルについては映画と骨格はほぼ同じ。
小説のネタ探しにベルリンに立ち寄ったアメリカ人クリフがキャバレーで働くイギリス人歌手サリーと恋に落ちる。
ナチスによって様変わりしていく社会状況に嫌気がさし、ここを出ようとサリーを誘うが、いとも簡単にベルリンを捨てようとするクリフにサリーはついて行けず一人残る決断をする、といった感じ(合ってるかな?)。

なるほど舞台版は歴史と政治の影響を色濃く反映した、深い内容のものだった。

しかしそこでまた別の疑念が。
映画版のディレクター、ボブ・フォッシーはこの舞台から後に老カップルではなく、どうして若いカップルの恋物語の方を掘り下げて描く気になっただろう?
私が作り手ならより時代に翻弄された感の強い、老カップルの方にフォーカスするだろうに。

もやもやを解消すべく色々調べてみると面白いことがわかってきた。
いや、そんなことは基本中の基本の情報だろう、という声も聞こえそうな気もするけどめげずに次回に続きます。。。

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by konekohaku | 2014-05-25 20:09 | movie・theater  

Forbidden Broadway



旅の最後の一コマとなる日曜夜
開いている劇場が少なくて今回も何を観るか大いに迷った

最初に考えていたのはHarvey Fierstein 脚本のCasa Valentina 
予習できないストレートプレイでどうにも積極的になれなかったところ、
Violet の再演が日曜ソワレにあることに気が付いた
主演はサットン・フォスター
幼少期、父親の手から滑った斧が顔面にあたり大きな傷が残った主人公
決して陰鬱な作品ではなく、出会った人々の優しさが幾重にもなって、
深く刻まれた彼女の心の傷を埋めていく爽やかで温かな手触りのお話だ

もう楽しみすぎて
オリジナルキャストのCDを毎日のように聞いて予習に励んでいた
ところが、いざチケットを押さえようと思ったら
4月に入ると日曜はマチネだけになることが発覚
BWではよくあるパターンなのに失念していた

というわけで振出しに戻った時
同行の友人がこの作品はどうですか?
と示してくれたのがオフブロードウェイの
「Forbidden Broadway」
そうだ、オフは日曜夜やっているんだ!



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        playbillならぬplaykillはちゃんとした冊子ではなく紙のコピー



てっとり早くいうとオン作品のパロディ集で
1982年から繰り返し上演されている人気ミュージカル

劇場はKinky Bootsと同じ45street にあるDavenport Theatre
通り過ぎてしまいそうなほど小さな劇場で入口も質素だった



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しかし!内容は実にすばらしい!
大掛かりな装置や美術があるはずもない小さな舞台にピアノが一台
出演者は男女合わせて4人

これだけシンプルなのに彼らはいかにもあり合わせ風の衣装をとっかえひっかえし、
恐ろしくハイレベルな歌と表現で
次々と旬の作品をパロディっちゃう
全部会話が聞き取れているわけでは決してないが
これでもかと知っている作品が出てくるので大笑い
前に座っていたおばさま方は
椅子から転げ落ちそうなくらい笑ってはったよ


Idina Menzelは新作ではなく「let it blow」をマイペースに熱唱
(怖いものなしの大人気スターだから?)


Les Miserablesのバルジャンはピアノを持ち上げようと必死(馬車でなはくw)

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                 Official HP から



ロッキーとシルベスタースタローンが登場、闘いでも始まるのかと思いきや
おもちゃで対戦

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他のターゲットは

The Bridges of Madison County
Pippin
Matilda
kinky boots
Cinderella
Sound of music
Book of Mormon
・・・

Woody Allen
Cyndi Lauper
Harvey Fierstein

スポンサーのディズニーやアメリカンエアラインまで!


一番笑ったのは
映画版「キャバレー」サリー役で有名なライザミネリが出てきて
圧倒的な歌唱力で熱唱し(めちゃくちゃ上手い)、
現在同役で舞台に出演している
ミッシェル・ウィリアムズがそれにひれ伏したこと(土下座だ(笑))


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こんな感じで終始抱腹絶倒
役者さんたちの基本的な実力、笑いのセンス、器用さを通じ
アメリカショービジネス界の
層の厚さをまざまざと見せつけられた1時間40分だった

あーほんとにもう、楽しかったなぁ


Cast :
Scott Richard Foster
Marcus Stevens
Carter Calvert
Erica Dorfler

Official HP:
http://www.forbiddenbroadway.com/
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by konekohaku | 2014-05-15 23:55 | NY  

Les Misérables



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ーすいません、偏った目線による辛口な感想ですー

この作品にそこはかとなく漂っているはずの悲愴感を
今回のカンパニーからキャッチすることができず
どうも心が動かなかった

よかったなと思ったのは
ティナルディエのオヤジ(Cliff Saunders)と
ガブローシュ(Gaten Matarazzo)くらい?
ジャベールもアンダーだったが冷静沈着→崩壊で特に後半〇
(Adam Monley)

ラミン・カリムルーのバルジャンは歌は非常に上手いのだけれど
原作から勝手にイメージしている、
「根は単純、思いつきで行動しがち 意外と視野が狭い」
という、全人格的にみればプラスにも働く人間臭さが
彼の佇まいからはあまり感じることができず
私好みのバルジャンではなかった(ラミンは好きだけれど)

ラミンバルジャンなら「bring him home」じゃなくて
「bring them home」と全員救出を企てそう
視覚的な面からして小柄に見えて損をしているような、、、
今回アンジョが非常に大柄な役者さんだったので
並ぶと逆の方がいいんでは?と思ってしまった


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観客の反応は非常に良し!
ラミンはトニーにノミネートされはったし(よかった)
私が狭量で
小うるさいおばさん目線で観ていただけなのかもしれません
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by konekohaku | 2014-05-13 19:12 | NY  

IF/THEN



イディナ・メンゼルの大ファンである姪と次に観たのは新作「IF/THEN」


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私がこの作品のチケットを押さえた頃はまだ
「Rent」や「Wicked」のオリジナルキャストとして有名だったイディナ

昨年11月にアメリカでディズニーの「アナと雪の女王」のプレミア上映があり、
映画は次々と公開され全世界的に大ヒット、彼女を取り巻く環境は一変した

イディナ・メンゼルは雪の女王の声を担当、
あの「Let it go」を歌っている人なのだ




**********************




私たちがRichard Rodgers Theatreに着いたのは開演30分前
まっさきにキャスト表を確認


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OK、イディナは今宵も予定通り出演する



ざわざわとした劇場内も照明が徐々に落されると
一斉にその注目は暗い舞台上へと集中する

完全に暗転し、ほんの少しばかりの沈黙が続くと
突然思いもかけない方向、上手斜め上にスポットライトがあたった

「hey, it's me」

イディナ・メンゼルの登場だ
彼女だと認めると観客はやんややんやの大声援、なんと
この一言だけでショーストップとなった!

恐るべしイディナ人気


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いつもNYで観劇するときはできる限り作品の下調べをしていく
どんなあらすじか?
現地での評判はどうか?
マスメディアの評価はどうか?

残念ながらこのIF/THENに関しては
ストーリーが複雑でわかりにくいと書かれているものが多数を占めた
(ちなみに、2014Tony賞最多ノミネートとなった、
「A gentleman guide to love and murder」は
観客からもメディアからも非常に高い評価を得ていた、
枠不足で私は観ることはできなかったけれど
同行の友人は観劇、評判通りの良作だったとのこと)

アメリカ人でわかりにくいって、
私ら日本人はどないしたらええん?

しかも姪にとってはNY到着日の夜
長いフライトによる疲労とジェットラグ(時差13時間)で
もっとも寝落ちしやすい条件が揃ってしまった

というわけで私たちは強力なガム持参で鑑賞に臨んだ
強烈な眠気に襲われるとそれくらいじゃ太刀打ちできないことは百も承知で


ストーリーは離婚を経験したエリザベス(イディナ・メンゼル)が
新しい人生のスタートを切るべく心機一転NYへやってくるところから始まる
これからどんな人生を歩んでいけばいいのか、
2人の女性(リズとベス、どちらもエリザベスの別称)の人生を仮定し
交差させながら物語は進んでいく

どれだけわかりにくくつまらない作品かと思いきや、
事前にストーリーを掴んでいたこともあり、これが結構面白く感じた
ちょっとした会話のやりとりでどっかんどっかんウケて
会場も最後まで盛り上がっていた
お陰で私たちも寝落ちせず(ただしガムは噛んでいたがw)


そしてそして
イディナ・メンゼルの歌は驚くほど素晴らしい

彼女の生歌を聴いた人が皆絶賛していることは知っていた
しかしこれまで彼女がどうしてここまで賞賛されているのか
正直わからなかった
映像やCDの音源からはただ、がなっているだけにしか聞こえなかったのだ

が、今回生ステージを経験し
彼女の特別な声質や歌の迫力は
どういうわけだか電波を通すと伝わらないことがわかった

オペラ歌手のような正統な歌唱法でもない
黒人のような艶やかな声帯を想像させる声色でもない

細く、透明感があり、繊細な声でありながら
相反するような声量でイディナは歌い上げる
それも私たちの耳に届いた時はそよ風のような心地よさを保ったままだ

厳しいアメリカショービジネス界で地位を築く人にはそれなりの理由がある
イディナ・メンゼルの歌声は
誰にも真似のできない唯一無二のものであったのだ

終わってみると演劇を観たというよりは
イディナ・メンゼルのワンマンショーを観ていたかのような印象だった
個人的意見を言わせてもらえばそれはそれでよかったのだと思う
誰かに化ける必要は彼女に限ってはないのかもしれない
皆イディナ・メンゼルの歌を聞き
イディナ・メンゼルを観に来ているのだから


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ステージドアはファンの出待ちで大混雑
とても側に寄れそうにはなかったが
一目だけでも素のイディナを観たいという姪の希望で1時間近く待った

しかし
その日イディナがファンの前に姿を見せることは
なかったのだった、、、

(これには後日談あり、それはまた別の機会に)
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by konekohaku | 2014-05-11 21:32 | NY  

Kinky Boots




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2日遅れでNY入りする姪と
この日はkinky bootsを一緒に観る約束をしていた
姪が空港に到着するのが11:05、そうびっくりするほどのディレイもないだろうと、
14:00からのマチネのチケットを押さえた
仕事の関係で2泊しかできない姪に与えられた観劇枠は4つ
一コマも無駄にしたくなかった

姪を乗せた便は予定より早めに到着したらしい

ところがところが

イミグレの大混雑と
その後に起きた予期せぬトラブルで
私たちが劇場に入れたのは

16時近くだったー号泣
(舞台終了予定は16:20です)


いや、でもこの作品改めてすごいと思ったよ
昨年のオープン時に一度観ている私は別として
初見の姪までもが、最後のわずか30分でこの舞台の虜になってしまったのだ

二人の主役の聞かせどころ
「Soul of a Man」(Chalie),「Hold Me in Your Heart」(Lola)は
後半にかたまっているし
誰もがノリノリの気分になっちゃうラストシーンは
華やかで、感動的で、高揚感に満ち溢れている

確かにこれだけでもこの作品の魅力の片鱗は感じられるはず


私といえば
ひぃひぃ言いながら椅子に腰かけたとたん、
ご贔屓のエンジェルChalie Sattonが

ちょうどこんな恰好で

目の前に立ってくれたものだから

絶望的な表情も

にんまりと

(でへ)










じゃーん

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(ストッキングははいていなかったような気がする、って変態か?私)
注:チャーリー・サットンさんは男性です


個人的にびっくりしたのは
ローラを演じるBilly Porterの歌が昨年とは比べものにならないほどよくなっていたこと(偉そうで失礼)
前回は声が通らない人だなという印象だったのに
まあ艶やかで伸びのいいこと
劇場の奥まで鋭く響き渡っていた



Charlie,Lauren,Nicola はリプレイスメントキャスト
悪くないけどやっぱりオリジナルの方がよかったな
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         未練がましく次の日の夜撮った写真


ちょっとしか観ることができなかったkinky boots
それでもやっぱり楽しかった
うーん、いい作品だね

そして姪と叔母は来年リベンジしよね、
と固く誓ったのでした(また行くんか?!)
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by konekohaku | 2014-05-09 19:46 | NY  

Lady Day at Emerson’s Bar and Grill



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                                   The New York Timesより



NY行きを決めて観劇チケットの手配もほぼ終えたあと
ビッグニュースが飛び込んできた

私の渡米と時期を同じくして
オードラ・マクドナルドが伝説のジャズシンガー、ビリーホリディ役で
ブロードウェイの舞台に立つというのだ

オードラ・マクドナルド・・・
アメリカ演劇界の最高の権威とされるトニー賞を5度受賞
過去に同じ時期にBWにいながら舞台を見逃した苦い経験もあり
いつか必ず彼女の生パフォーマンスを、と思い続けていた女優さんだ

悩みに悩んで、
押さえていたうちの一枚のチケットを同行の方に譲り(買ってくださったのだ)
オードラの出演する、かつてオフで上演されていたリバイバル作品
「Lady Day at Emerson’s Bar and Grill 」を観ることにした

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恥ずかしながらビリーホリディについてはほとんど知識がなかった
知っていたのは名前くらい
今回舞台を観るにあったって
できるだけたくさんの彼女の動画を視聴した
安直だがwikiを(さらっと)読んで人物像も掴んでいった
1915年4月7日生1959年7月17日没
わずか44才でその壮絶な人生を終えている

Lady Day at Emerson’s Bar and Grill は
最晩年の1959年に行われたライヴコンサートという設定

舞台「CABARET」と同様、中央部分にテーブル席があり、
お酒がふるまわれていた
私はステージからほど近いサイド席
劇場後方からおぼつかない足取りで
観客の間を分け入ってオードラが登場すると
私のすぐ目の前でマイクに向かった


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その声を聞いた時の驚きは今も忘れられない
見た目はネットなどを通じて慣れ親しんだオードラなのだけれど
歌いだしたとたん一瞬のうちにyoutubeで予習した、
あのビリーホリディに変わったのである

大袈裟ではなくまるで奇跡を目の当たりにしているかのようだった
え?え?え?ええええー?
歌が終わると劇場がどよめき、続いて割れんばかりの拍手喝采が起こった
私同様、皆、狐につままれたような気持ちになったのだろうと思う
こんな経験は始めてである

歌の合間に、ホリディの口から(そうとしか聞こえないのだ)
恵まれない幼少期、これまで受けた人種差別のことなどが語られる
くせのあるしゃべり方で聞き取りが難しい

人の支えがないと僅かな段差でさえ
降りられないほど身体は疲弊し(観客に手伝ってもらっていた)
ちょっとしたことでピアニストにあたる様からは
精神までもがかなり蝕まれていることが窺える

休憩なしの1時間半(少し長く感じた)
私はオードラ・マクドナルドではなく
ビリー・ホリディの歌を聞き、語りを聞き、
彼女の傷ついた魂に触れ時を過ごした
演劇において一つの極みを体感したともいえるかもしれない

観客は総立ちになり拍手は鳴りやまなかった
オードラ・マクドナルドはやはり天才だった


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          ステージドアでは気さくなオードラさんに戻っていた(当たり前かw)
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by konekohaku | 2014-05-07 20:36 | NY  

Hedwig and the Angry Inch


先月末にNYへ行った
もちろん観劇目的で

一本目に観たのはかつてオフ・ブロードウェイでロングランを記録し、
その後映画化された伝説的ロックミュージカル、
Hedwig and the Angry Inch


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複雑な生い立ち、時代背景、性転換手術の失敗、失恋・・・
心に深い深い傷をもつ主人公を演じるのは
子役の頃から映画、舞台、テレビで活躍し
近年はエミー賞やトニー賞のホスト役としても有名な
Neil Patrick Harris!

耳を劈くようなエレキの音とともに
黄色いド派手な衣装を身に纏ったニールが空から舞い降り登場すると
待ってたぜ~と言わんばかりに会場は大盛り上がり

ニールはおなじみの金髪に濃いメイクですっかりヘドウィグになりきっていた
細いのだけれど筋肉がしっかりしていて意外に身体はごつい
歌の合間演技の合間に、お得意の絶妙なトークで観客をいじりまくる
客席に降りてメガネを舐めたり
椅子の肘掛のところに乗って
観客の顔に股間を近づけたり
そのたびにどっかんどっかんお客さん大喜び
(このあたりはさながらNPHショー?!)


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元々非常に器用で、歌で演技のできる人だから
彼の独特の歌声による心の叫びが説得力をもって胸に突き刺さる
過激に好き放題やっているようで、やりすぎ感もない
押えるところは押えているんだよなぁ
彼自身もゲイであるし
余計にぴったりと来るものがあったのかも

Yitzhak役のLena Hallは昨年観た「kinky boots」のオリジナルキャスト
声を覚えていたので間違いないとわかっていても、
あまりに見た目や雰囲気が違っていたので
しばらく彼女であることが信じられなかった
パンチの効いた歌声はまさにはまり役


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正直、ずいぶん前に映画で観たときは
そんなに好きになれなかった作品だった、
けど今回は出演者の魅力もあってか
これを観ただけでもNYまで来た甲斐があったと思えたほど

オリジナルヘドのジョン・キャメロン・ミッチェルが
繊細で華奢でとっつきにくかったので
若干違うかも?と思わんでもなかったけれど
観客の心を完全に鷲掴みできるニールの圧倒的な存在感はさすが

彼だったからこそ
ここまでの作品に仕上がったんだろうな

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メイクがなかなか落ちないそうで、この日も目元に薄っすら残っていた
滝のような汗をかいても全く崩れなかったもんね

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by konekohaku | 2014-05-07 06:25 | NY  

ロンドン


ロンドン記、予想通り放置しちゃいました、すいません

実は来年初めて渡英する友人のガイド用に
そしてもちろん自分の記録保存用に
画像処理が楽なパワーポイントで
別口に作成したので(画像の取り違えはありませんよw)
やる気がでなかったのでした

5泊しかしていないのに28ページにわたる(私にしては)力作
偽善的なようだけど人の為になら頑張って作れます
自分用にならこんなに凝らないもんねー


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ロンドンでの観劇は

・candide
・warhorse

のみ
他にはロンドン響とシルクドソレイユなど



面白かったのは
バーンスタインの作品として有名なcandide

小さな空間にぐるりと座席が設置されていて
劇場に行ったというよりはリハーサル室で
ハイレベルな演技を観させてもらっているような感じ


(座席表)
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舞台(といってもただの、部屋の中央部分)に出演者がひしめき合っていて
しかもそれが英国の有名な役者さんばかりで
我が人生で名優密度が一番高い公演となりました

バンドによる生演奏つき
でもやはりこの演目はオーケストラで演奏されるに限るなと思いました


cast
David Thaxton
Carly Anderson
Jeremy Batt
Michael Cahill
Jackie Clune
James Dreyfus
Fra Fee
Christopher Jacobsen
Cassidy Janson
Frankie Jenna
Ben Lewis
Rachel Spurrell
Scarlett Strallen
Helen Walsh
Matt Wilman



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今振り返っても
長くイギリスに住んだことのある幼馴染との旅で
それはそれは楽しく心満たされる日々でした
イギリスの歴史や出会った方々の優しさ・紳士的態度に
深い感銘も受けました

しかし!

数日前に次の旅から戻ってきて
あたいはやっぱりこっちの街の方が好きっ!
と興奮の数日間に思いを馳せる自分がおります


・・・というわけで2014NY観劇記、まいります!
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by konekohaku | 2014-05-05 19:32 | イギリス