Les Miserables


ここまで3本すべてオリジナルキャストで観ることが出来、ラッキーラッキーと調子こいてたら思わぬところで悲劇はやってきました。ああ、みぜらぶる~。昨年の経験からUSAのレミは相性が悪い気がしてどうしようかと悩んでいたのですが評判のいいアルフィー・ボーさんが出演しているなら観てみるか、とこれまた間際でしたがチケットを押えました。し、し、しかし、、、
劇場入ってすぐ左にキャスト表があり、一応確認と視線を向けた途端いきなり強烈なボディブローが。なんとお目当てのアルフィー・ボーが休演。。。あまりに唖然として交代のキャスト表だけ写真を撮ってたという(笑)。

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と言いますのは、チケットを購入する際HPにアルフィーさんは何日のソワレと何日のマチネとこの日からこの日、この日とこの日・・・は休みますよ、と事細かにアナウンスメントがあったのでした。それを避けたのにまさか出演予定日に休むなんて思ってなかったんですわー。がっくし。

ディスカウントの席だったのでサイドブロックでしたが前から4列目。視界は良好です。かなり暗然とした心持ちの中、幕が開きました。ところが、、、。ん?このヴァルジャン、いいんじゃね?お、なかなかいいよ。えっ?めちゃいいやん、ぶらぼー!。
ヴァルジャン役のWill Rayさんは良くも悪くもご本人の個性があまり感じられない方で、私のイメージのヴァルジャンそのもの。ちょっと粗忽なところもあるけれど天性の温かみがあり大きくて。アルフィーさんだともっと歌えるのかもしれないけれど、willさんも十分なレベル。変なクセもないし個性的だった去年のラミヴァルジャンより私好みでした。

キャストの中で抜群に目を引いたのはティナルディエのJoseph Spieldennerさん、本役が休みの間臨時で1週間くらいティナを演じられていたよう。見るからに気持ち悪くて人間の汚い部分が集まって形になったような感じ+コミカル。今までに観たことのないタイプのティナで、あまりに強烈&面白かったので初めて出番が待ち遠しく思ったほど。観客にも大ウケでした。いったいどんな人が演っているんだろう?年齢も素も想像つかずこの眼で確かめようと出待ちしてみますととととと、、、びっくり仰天、とんでもなく若くハンサムなナイスガイ でしたー。ようあんなに化けれるわ、いやー素晴らしい。

アール・カーペンターさんのジャベールは特に後半とてもよくて、来日コンサートで聞いたstarsとは大違い。ただ上手いのですがどことなく佇まいに「余裕」があって自殺するタイプに見えなかったわ、細かいこと言うてなんですけど。コゼットのAlex Finkeさんは去年の人より品がありました。その他のキャストの方々は大味に見えたかな。
全体的には昨年個性と個性がぶつかり合って歌合戦のように見えたカンパニーも、今回キャストががらりと変わって没個性な分纏まりよく感じました。総スタオベでしたよ。たぶん私はレミには歌が上手いとか迫力があるとかより、どれだけ細やかに感情を表現してくれるかを重視しているようでそういった意味ではやはり日本のカンパニーの方がしっくりくるなとは思いました。USAキャストはみるからに生命力に溢れていて、そこが私の感情移入を妨げているような気もします。開演前に「上演中は話をしてはいけません」とアッシャーからわざわざ注意がありw観客のマナーは昨年に比べ格段によかった。

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ステージドアに同年代か少し上かなと思われる日本人のご夫婦がいらしたのですが、奥さまがアルフィー・ボーさんの大ファンだそうで楽しみに渡米してきたのに今日はショックで、、と。気の毒なほど落ち込んでいらっしゃったので、思わず「残念でしたよね・・・でも今日のヴァルジャンも素晴らしかったですよ」と慰めにもならない言葉をかけてしまいました。心からそう思ったんだもの。そうしたら後ろに立ってらした優しそうなご主人様が大きく頷き「私もそう思いました」と。実はこのご夫婦はちょうど私の前の列に座ってらして、ラストシーンでご主人様が涙を拭っておられた姿を後ろから見ていたのでした。
体調が悪くて休演するのは仕方がないことなんだろうけれど、契約で認められているんだろうけれど、クラシック畑の人には付き物なんだろうけど、元々お休みをもらってるんだからさぁ、、。同じ時間に「ジェントルマンズガイド」を観た姪から今日もジェファーソン・メイズさんが豪快に唾を飛ばし抱腹絶倒の演技を見せていたという話を聞くと、安くないチケットを買い、万障繰り合わせやってきた(たった1回のチャンスかもしれない)お客の為に、体調を整えて最高の演技をみせてこそプロなんじゃないの?と思ってしまいました。昭和気質ですかね?いつかあの奥さまにアルフィーさんの生舞台を観るチャンスが訪れますように。


Cast:
Will Ray
Earl Carpenter
Montego Glover
Brennyn Lark
Chris McCarrell
Alex Finke
Joseph Spieldenner
Rachel Izen
Wallace Smith

Production Credits:
Laurence Connor and James Powell (Direction)
Matt Kinley (Scenic Design)
Andreane Neofitou (Costume Design)
Christine Rowlands (Additional Costumes)
Paule Constable (Lighting Design)
Mick Potter (Sound Design)
Fifty-Nine Productions (Projection Design)
Christopher Jahnke (New Orchestration)
Stephen Metcalfe and Stephen Brooker (Additional Orchestrations)
Lyrics by: Herbert Kretzmer
Music by: Claude-Michel Schonberg
Book by Alain Boublil, and Claude-Michel Schonberg
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# by konekohaku | 2015-10-15 23:10 | NY  

Fun Home


今年のトニー作品賞を受賞した「FUN HOME」を観ました。葬儀屋(funeral home)を家業とする家庭に育ったカトゥーニストであるアリソン・ベクダル。彼女の自叙伝的作品「ファン・ホーム ~ある家族の喜悲劇~」が原作の新作ミュージカルです。
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「自分の人生の始まりが父の人生の終わりになるなんて」
作中では現在のアリソンが父親との日々や自分の成長を回想。思い出すままに少女時代、学生時代のアリソンが交差します。時には3人が同時に舞台に存在、時系列もバラバラです。ゲイであることをひた隠しにしていた父親。一方父の秘密を知らなかったアリソンは幼少期から女の子らしくあることに違和感を覚え、成長とともに同性に興味を持つ自分に気付きはじめます。ついにレズビアンであることを両親に告白、その後まもなく父親は自ら命を絶ってしまいます。隠れゲイだった父親の死は、自分がレズビアンであることを「オープン」にしたことと関係しているのではないか?事故だった可能性も残されていますがアリソンは自殺と確信、苦悩します。


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                          Broadway.comから



「ダディこっちに来て、今すぐ。パパが必要なの。ねぇ話を聞いてよ。飛行機ごっこをしたいの。」
1時間45分(休憩なし)の上演の間に3人のアリソンから発せられる夥しい数のDaddy, Dadという言葉。この作品はアリソンの父親への思慕の情に溢れています。結びらしい結びはなく、これから先の人生へ羽ばたいていくために、父親との思い出や家族と過ごしたこれまでの半生を正直に丁寧に冷静になぞるアリソンの姿が描かれているだけ。決して暗い作品でもお涙頂戴でもなく、ユーモアを交えながら誠実に作られているという印象です。ちなみにトニー賞でのパフォーマンス、小アリソンの「Ring of Keys」はずいぶんと後半で歌われます。一通りアリソンのこれまでのセクシャルマイノリティな人生見てきた後ではじめて私たちは彼女の出発点を目撃するわけです。ある日突然、意図したわけでもなくごく自然にある女性に目をとめる幼いアリソン。これは大変意味深い。
円形劇場のぐるりと客席に囲まれた舞台の上にあるのはピアノ、ソファ、机程度。セリがあり棺やゲイユニオンのドアなどが出現します。背景がないのでライトニングには工夫が凝らされていました。舞台の端には小さなバンドが控えていて音楽は生演奏。シンプルであるが故に脚本や極上のパフォーマーによる演技の質の高さ、そして何より、誰も侵害してはならぬ人生の「尊さ」が浮かびあがります。これほど深く心に染み入りひっそり涙した作品はないかも。この春観たGypsyに続き、愛おしくてずっと大切に抱きしめていたい、そんな作品に出会えました。






Cast:
Michael Cerveris
Judy Kuhn
Beth Malone
Sydney Lucas
Emily Skeggs
Roberta Colindrez
Zell Steele Morrow
Joel Perez
Oscar Williams

Production Credits:
Sam Gold (Direction)
Danny Mefford (Choreography)
David Zinn (Set and Costume Design)
Ben Stanton (Lighting Design)
Kai Harada (Sound Design)
Chris Fenwick (Music Direction)
Lyrics by: Lisa Kron
Music by: Jeanine Tesori
Book by Lisa Kron
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# by konekohaku | 2015-10-13 20:01 | NY