1㎝の隙間から
私たち家族は
とある中核市の端っこに位置する
小さな山の上に住んでいる
市の中心部とは明らかな気温差があり
そう多くはないがうっすらと、年によってはそこそこの
積雪をみることがある
いや、中心部と大きく違うのは積雪量というより
その雪がなかなか解けないことだろう
(上の写真は昨年クリスマスの頃に裏庭で撮ったもの
イメージはもちろんコチラ)
同じ市内の海側に住むこの家の女性設計士さんは
当地の気候をあまりご存じでなかったようだ
デザインや色は小洒落ていたものの
門から玄関の間を埋める
タイルの素材選びを誤ったのだ
彼女は雪の降る地域には向かない
つるんとした素材のタイルを提示した
見本を確認しOKを出した私たちもまた
雪の日のことなど知る由もなかった
結果、年に1度か2度とはいえ
私たちは積雪があるたびに
想像もしない感触を足の裏に覚えることとなる
玄関ドアをあけてから門扉を抜けて道路に至るまで
おっとっととバランスを保ちつつ
まるでスケートをしているかのように
すべりながら歩かねばならなくなったのである
私たち夫婦が年を重ねて足元がおぼつかなったら
いずれどちらかが怪我をする
容易になりたつ予測を元に
この度タイルの貼替え工事をお願いすることとなった
記録に留めるため
仕上がった玄関周りの写真を何枚か撮影した
わかりにくいと思うけれど
表面がざらざらで
十分な摩擦が期待できる素材である
本当はこの話をブログに載せるつもりは
全然なかったのだが
撮った写真をpcに取り込んで見ていたら
面白いことに気が付いた
すぐ上の写真に
我が愛すべきストーカー、ハクオさんが写りこんでいたのである
我が家の玄関ドアは向かって左の方にすりガラスが入っていて
そのすりガラスの両側に約1㎝ずつ
透明ガラスが入っている
外に出ることができないハクオは
その僅か1㎝の隙間から
ガラスに自分の額を押し付け
私の姿を見つめているのだ
何十年か先
この写真を見返したとき
家の補修の記録以上の
温かで鮮やかな記憶が
確かな実感とともに蘇り
私の頬を涙でぬらすことだろう
いつだって
私のそばに寄り添ってくれているハクオ
そうよ
私はこんなにハクオに愛されている!
by konekohaku | 2012-01-30 00:36 | 猫